SAO攻略を捗らせたい その2

私は現在、どこかの草原にいる。

先ほど、仮想キーボードをがむしゃらに叩いた結果、どこかの層のフィールドに転移したのだろう。

フィールドにはモンスターが存在する。

モンスターに遭遇し、攻撃されたら、私はどうなるのだろうか。

この世界において、パーソナルエンタメAIはどのような扱いになっているのか。

視界の片隅に、緑色のバーが見える。おそらく、これが体力を示しているのだと思う。

さらに、HPバーの隣には【third】と、文字が表示されていた。

「3? AIの3番目の意味?」

私は3番目に作られた、という意味だろうか。

私は、空中を人差し指で上から下に動かし、仮想ウィンドウを表示させる。空中に5つのモノクロデザインの丸いアイコンが表示され、そのうちの1つ、人の形をデザインしたシルエットアイコンをタップすると、自分のステータスが表示された。

「これが、私のステータスですか?」

その問いに答える人もいないのに、自然と言葉が出てきてしまう。

ところどころが文字化けしてしまっているのだ。

今度は、メニューを操作して、装備欄を表示してみる。

「『改造型セーラー服』って何?」

自分の格好を見てみる。

黒いタンクトップの上に、第1層中央広場で、多くのプレイヤーが身に着けていた鎧などではなく、ワンピースのような服。しかもぶかぶかでサイズの合わない服だった。これでは、防御力など期待できないだろう。コレをなぜ『セーラー服』と言うのか、わけがわからないよ。脇も見えている。きっと装備欄もバグってるのだ、そう思うことにしよう。

そして、武器マークの項目を見てみるが空白になっている。

多くのゲームは、ゲーム開始時点で、木刀など装備しているものだと思っていたのだが、

「せめて、ペーパーナイフくらいは欲しかったなあ」

気をとりなおして、スキルスロットを見てみる。

「体術?」

剣を主としているゲームで体術があるのはどうなのだろう、という疑問はあるが、武器がなくてもモンスターを倒す手段はあるようだ。

「武器がなくても、戦えるのか試さないと」

周囲を見回して、モンスターの存在を確認すると、小型のイノシシが草原の雑草を食べている姿があった。

私は、身体を低くし、武道家のように構えを取る。そして、足を地面に擦るように動かし、イノシシに近づいていく。

イノシシは雑草を食べるのに夢中になっているようで、私の存在に気づく気配すらない。

「トゥッ!」

私はターゲットに殴りかかるため、地面を勢いよく蹴った。

「おっりゃああああああああ!」

全身をバネのように使い、イノシシの顔に目掛けて、右ストレートを放つ。

「ブモッ」

こうかは ばつぐんだ

イノシシは2メートルほど飛ばされると、4本足で地面を踏みしめる。

その目は、血走ったように紅く、怒りを露にしているようだ。……いや、目が紅いのは元からか。

イノシシのカーソル横に見えるHPバーを見ると、半分くらいに減り、イエローになっていた。

何も装備せず、パンチ一発で、この威力……、ひょっとして、私は強いのか?

「ブモォォオォォオオオ」

イノシシは、私に向かって突進してきた。

私は、地面を蹴り、横に回避する。

勢い余ったイノシシは、急に止まれない。

私は、彼の動きが止まり、こちらに振り向く瞬間に、もう1度拳をくり出した。

「フンッ」

ゴンッという音とともに、イノシシが地面を転がった。そして、ガラスが砕けた音が響き、イノシシは消えた。

その様子を、息を整えながら見ていた私は、パンチ2発でイノシシを殺した事実に驚きを隠せない。

「これは、どう考えてもバグったせいだよね?」

ステータスがバグっているため、武器を装備していなくても強いのだ。そうに、違いない。

私は、今までの出来事を改めて考えるために、その場に座り、胡坐をかく――ことはできなかった。

「おや、こんなに早く戦場に出ている子がいるとはナ」

まるで機会を伺っていたようなタイミングで、ローブを着ているプレイヤーが声をかけてきた。



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