私が”藤袴美衣”とかマジひくわー第2話「四糸乃パペットⅡ」

「ナース、巫女、メイド……、お前はこの中ならどれがいい?」

「はあ?」

 通称、ギャルゲマスターの殿町くんと両刀と噂の五河くんが、何やら真剣な顔をして話していた。彼らはいつものような緩んだ笑みをなくし、真面目に討論をしている。周りからみたらイケメンの二人が、いつもより美化している。しかし、議題の内容は二次元だった。

 私、藤袴美衣、山吹亜衣、葉桜麻衣の仲良し3人組みは、彼らの言葉に耳を傾けた。

「メイドが良いんじゃないか?」

 真剣な表情のまま、五河くんが答えた。

 それを聞いた殿町くんは、五河くんをにらめつける。

「まさか、お前がメイド好きだったとはなっ」

 殿町くんの怒気をさらりと流すように、五河くんはフッと笑った後に、自分の席を立つ。

「おい、どこへ行く気だよ」

「俺たちの友情はここまでだ」

 五河くんがが悲しげな瞳を向ける。

「ちょっ、おま、ノリ悪すぎだろ。」

 言われた殿町くんは動揺していた。

 こういうやりとりがあるから、二人の間にはボーイズラブな噂が立つのである。

「さすが、五河くんだわ」

「まいどまいど、よくやるわ」

「マジひくわー」

 ボーイズラブな空気を発する二人に、私たちは感想を述べた。

「メイド?」

 いつの間にか登校してきた鳶一折紙は、先ほどの五河くんの言葉に反応していた。

「修羅場かな?」

 私たちは、彼らのやりとりを見守っていた。

 ――鳶一のメイド姿……、ありかな?

 四時限終了のチャイムとともに、昼休みが開始される。

「士道、昼餉だぞ!」

 夜刀神さんの大きな声に振り向くと、五河くんの机の左右に机がドッキングしていた。

真ん中の五河くんをはさんで、両端から敵意をむきだした夜刀神さんと鳶一が睨みあっている。

「貴様、邪魔だ」

「それはこちらのセリフ」

 ひとりの男を取り合う修羅場がそこにあった。

 何やら言い合いをした後、二人は納得したのかそのまま三人で昼食をとっていた。

「あの超天才、五河くんに釘付けね。クールなのに実は熱いのね」

 亜衣が3人を見ると、ため息をついた。

 ウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥ――

 時空震警報が街中に響き渡る。

 鳶一は席を立ち、敵意のこもった表情で教室を出ていった。五河くんは、その様子を思いつめた表情で見つめている。

 その様子を私たちが眺めていると、物理担当の村雨先生が廊下を指して地下シェルターへ避難指示を出す。

「皆、すぐに地下シェルターに避難するんだ」

 その言葉を聞き、生徒たちはあわてずに教室を出ていく。

「私たちも避難しよう」

 麻衣の言葉に、私と亜衣は廊下へ慌てず騒がずに移動した。

 廊下では生徒たちが列をつくり、従順に地下シェルターに移動している。私たちは列の最後尾に並び、他のクラスメイトたちといっしょに移動する。

 このまま何事もなければ、生徒の避難は無事に完了する。

 しかし、私の後方から聞きなれた声を耳にした。

「五河くんに夜刀神さん、村雨先生まで、そこで立ち止まらないでくださいっ! 早く避難しないと危険が危ないですよっ!」

 私たちのクラス担当教師の岡峰珠恵先生・通称タマちゃんが、慌てて支離滅裂なことを言っていた。

 それを聞いた彼らは、夜刀神さんを残して、地下シェルターとは反対方向に走っていった。

 ――五河士道、精霊をデレさせることで、精霊の力を封印できる力を持つ少年。

 記憶から得た知識を検索すると、彼の情報が取り出せた。空間震の発生は、精霊がこちら側に来るときの副産物。彼は、精霊の対処をするために戦場に向かったのだろう。そして、村雨先生は精霊対策組織の関係者といったところか。

 高校の地下シェルターに避難を終えた私たちの後、夜刀神さんをつれたタマちゃん先生が現れた。

「タマちゃん先生」

「夜刀神さんまで、そんなあだ名で呼ぶの?」

 先生は夜刀神さんにあだ名を呼ばれて、がっくりとうな垂れた。

「先ほどの音は一体なんなのだ? この場所はなんなのだ?」

 その言葉に私は驚いた。

 精霊はこの世界に来るときに出来る空間震。それを知らない精霊がいることに驚いたのだ。

「彼女って空間震知らなかったのね」

「もしかしていいとこのお嬢様とか」

 夜刀神さんは彼の名前をつぶやきながら、自分の体を抑えていた。

「夜刀神さん、健気……」

「これからは十香ちゃんって呼ぼうか」

 私は麻衣の意見に賛成する。

 そして、彼女から誰もが目を離した瞬間、彼女の存在は消えていた。

 夜刀神十香は、数日前に転入してきた少女である。

 たまに鳶一折紙と激突しているが、彼を、五河士道を大切に想っているからだろう。私たち、藤袴美衣、山吹亜衣、葉桜麻衣のよに。

 私は、彼女の行方を追っていた。地上が爆撃に振るえ、銃撃が空を飛び交う中、私は瓦礫が落ちる地面を走っている。

 十香ちゃんの霊力がなんとなく感じ取れる。これも私が精霊になった証なのだろうか。

 その感覚にしたがって、私は半壊しているビル郡を賭けていた。その先に、十香ちゃんがいるということは、五河くんもいる。そして、件の精霊もいる。

 ――現場にいって何ができる? 精霊と戦うのか?

 違う。友達を助けるために私はいくんだ!

 私の気持ちに反応したのか、気づくと私の服が変わっていた。上半身は白色、下半身は紫。神社で見る巫女装束であった。履物は、なぜか下駄である。

 力がわいてくるのが分かる。

 私は地面を大きく蹴って、跳躍した。

 前方から銃撃の音が響いていたが、いつの間にか消えている。

 静かになった無人のビル郡を眺めると、ある一点だけ異質な存在がいることが確認できる。スクール水着並みの露出度で、機械の鎧を纏い、銃火器類を装備している団体が、空からビルの屋上へ降りているところを私の目が捉えていた。

 私は、頭に焼き付けられた記憶から、姿を消す能力を検索する。

「――ビンゴッ。」

 にんまりと笑顔を浮かべた私は、気合を入れるように霊力を集中する。

 周囲から紫い色の霧が噴出し、体を覆い、しみこんでいく。見た目は何も変化ないが、体を膜のようなものに包まれている感覚があった。

 私は、武装隊のいるビルの隣りから出てくる霊力反応を頼りに、ビルに潜入した。そして、階段を駆け上がり薄暗いフロアを見渡すと、どす黒いオーラを纏った夜刀神十香がいた。その奥には、五河士道とよしのんがいる。

『十香ちゃんには悪いけど、士道くんは君に飽きちゃったみたいなんだよね』

 よしのんの発言に、その場が凍った。まさに修羅場である。

 士道くんが、幼いよしのんまで守備範囲だったとは、殺意が沸いてくる。

 よしのんは、十香ちゃんの反応を楽しむように顔をゆがませた。

『いやさあ、話を聞いてると、十香ちゃんの約束すっぽかして、よしのんのところに来ちゃったみたいじゃない? これってもう決定的だよね』

 よしのんはさらに追い詰める。

『やー、ごめんねえ、これもよしのんが魅力的すぎるのがいけないのよね』

 女の戦いを見た。

「だめなのだ、だめなのだあっ!」

 十香ちゃんは、地団駄をふみ、よしのんのパペットをつかみあげた。その反動で、よしのんがしりもちをつく。高く持ち上げられたパペットをとりかえそうと、彼女は必死にジャンプして手を伸ばす。

「十香、それ返してやってくれないか?」

「シドー……やはり、私よりもこの娘を……」

 この瞬間、よしのんの霊力が膨れ上がったことを感じて、私は腰に吊るした刀を鞘から抜いた。

「<氷結傀儡>っ!」

「ヤバッ」

 私は刀身に霊力を通して、衝撃に備えた。

 床から突き破り、巨大な人形が現れる。3メートル以上ある巨体の頭には、可愛らしいウサ耳があるが、可愛さなど微塵も無い。

 グオオオオオオオオォォォォォ――。

 巨体は、低い咆哮を上げ、よしのんを守るように立ちふさがった。

 その刹那、フロア全体の窓ガラスが割れる。

「十香!」

 十香ちゃんに、無数の弾丸が襲い掛かる。

「させるもんですかっ!」

 私は備えていた刀身の霊力を、斬撃に乗せて、十香ちゃんの真上に向けて放つ。弧を描いた厚さある斬撃は、弾丸をはじいた。――と同時に、五河くんが夜刀神さんの体を抱き込むように倒れこむ。

 私は、二人の体に傷がないことを確認すると安堵した。

<氷結傀儡>は、彼女たちに興味をなくしたのか、十香ちゃんが取り上げたパペットを口で拾い上げると、地を蹴って屋外へ出て行った。

 私は、彼女を身を呈して助けた彼に驚嘆の想いを抱く。よしのんのようなロリコン好きな変態野朗だと評価していたが、彼女を大切に想っていたのだ。彼の評価を考え直さねばならない。

「さわるなっ!」

「いてっ」

 二人は起き上がると、痴話喧嘩をしていた。

「どうしたってんだよ、十香」

「うるさいっ! 話しかけるなっ! どうせあの娘の方が大事なのだろう」

 夜刀神さんと先ほどと同じように、地団駄を踏む。すると、地面の亀裂が広がり――

「あっちゃあ……」

 私は刀を鞘に戻すと、彼女たちが落ちた先を見ていた。

「まあ、これくらい元気なら大丈夫でしょう」

 断じて、五河くんの心配などしていない。

 このとき、カメラが私の姿を捉えられていることに、まだ気づいていなかった。

 この物語は、『デート・ア・ライブ』藤袴美衣の視点で書いています。『あいまいみい』の3人娘の美衣。原作ではきついセリフを言っていますが、アニメでは「マジひくわー」のセリフが99%な彼女を、活発に動かします。精霊化した彼女の姿は、巫女装束を纏っています。黒髪にメガネの巫女さんっていいですね。

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