【自作小説】氷の精霊とゼロの使い魔 第1話「召還」

トンネルを抜けると、異世界でした。

光の中を抜けた先で目にしたのは、黒いローブを着たカラフルな髪を持つ外国人たち。

遠くに見える白レンガで固められた城壁を見ると、ヨーロッパを連想する。

しかし、15、6歳くらいの少年たちを眺めると、いかにもアニメで見るような容姿をしている。

目の前には、ローブを着て、大きな木製の杖を持った少女と髪のない人が何か口論をしている。

外国のためか、その言語を理解することはできない。

やがて、話がまとまったのか、少女が俺の前までくる。

青いショートヘアに丸ふちメガネを持つ彼女は、どこかで見たことがあった。

それは、ライトノベルだっただろうか。

思考をめぐらせていると、突然彼女の口が俺の口をふさいだ。

頭の中が白くなる。

わずか数秒に満たない時間が長く感じられる。

口から離れるやわらかい感覚が口おしい。

「ぐっ!」

体に痛みが走る。熱いものを体に押し付ける感覚が駆け巡る。

「大丈夫、大丈夫だから」

青髪の少女が優しく頭をなでる。

その言葉に呼応するように、痛みは治まった。

「いったい、あなたは何をした?」

「あなたは私の召還に応えた。だから、私の使い魔にした」

簡潔に無駄なく少女は答えた。

「ほお、これは珍しい形のルーンですな。スケッチさせてもらいますぞ」

髪のない人が、俺の右肘を見て紙に筆を走らせている。

「ルーン……」

ここまでキーワードが出揃っていれば、想像するのはたやすい。

おそらくここはハルケギニアだ。

目の前にいる少女がタバサ。髪のない人がコルベール。

そして、召還の儀という単語から、原作のはじまりの時期と推測する。

肘につけられたルーンを見る、言語はわからずとも、情報が頭の中に流れ込んでくる。

「……ザド、キエル?」

その言葉には、覚えがあった。

「はは、まさか……」

自分の横髪をさらりとさわる。

髪を束ねて手元に集めると、それは確かに青かった。

今度は、のど元に右手を当ててみる。

「アーアーアー」

口からは女性特有の高い声が出た。

当然ながら、喉仏など出ていない。

「アー……はぁ」

女神様はやらかしたようだ。

自分は今、『デート・ア・ライブ』というライトノベルに登場する精霊、四糸乃になっている。

しかも、ミスはしないといっていたのに、魔法あり、戦争ありなハルケギニアに俺を送りやがったのだ。

本来なら普通なら頭を抱えて、絶望にひたるところだろうが、ありきたりな青年の平凡な生活より、未知の世界への興味の方が強い。

「あなたの、なまえは?」

俺は推測が正しいのかどうか、目の前にいる主に答えを求めた。

●○●○●○●○

――この子は只者ではない。

見た瞬間にタバサは思った。

自分と同じ背丈で、青い髪を持つ彼女。気品にあふれ、どこかの貴族かと疑う。しかし、まるで人形のよう――自分のような雰囲気を持つ少女だった。

「おい、タバサが平民を召還したぞ」

「まさか、召還に失敗したのか?」

「トライアングルのタバサが?」

野次馬がうるさく騒ぐ中、コッパゲ――もとい、トリステイン魔法学園の教師、コルベールがつぶやいた。

「この娘は、本当に人間なのか?」

召還された彼女を<探知>し終えた彼は、感想を述べる。魔法に似た力の反応に、わが目を疑った。この華奢な少女の膨大な力の反応に、目を疑う。

人間でないとしたら、亜人なのだろうか。しかし、人間と似通っている彼女は、そう見えない。それならば、エルフなのか。しかし、特徴的な尖った耳がない。

毎年、春に行われる<使い魔召還の儀>は、トリステイン魔法学院において、2年に進級するための大切な儀式であり伝統だ。召還されたものがいかなる存在であっても、契約はしなければならない。それが伝統というものだ。

そう考えたコルベールは、タバサに<コントラクト・サーヴァント>を行うように促した。

タバサは、彼女の前に立ち契約の呪文を唱える。

「わが名はタバサ。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、わが使い魔となせ」

わずか数秒の口付け。

行為を終えた少女は、呆けた表情でいたが、襲ってきた痛みに苦しみだす。

「大丈夫、大丈夫だから」

タバサは子供をあやすように、頭をなでている。

やがて、少女は安心したかのようにおとなしくなった。

「あなたは、何をした?」

彼女の第一声は、抗議を含んだ質問だった。

タバサが使い魔にするために召還したことを伝えると、顎に手を当てて考え込む。

「ザドキエル?」

少女のぽつりとつぶやく言葉は、タバサに不思議な印象を残す。

「アー、アー、アー」

大声、というわけではないが、突然の奇声に後ろで騒いでいた生徒たちが静かになった。

「ハァ」

少女は声のトーンを低くしてため息をついた。

「あなた(マスター)の名前は?」

容姿は人形のようだが、何かおもしろいものを見つけたような顔をした少女に、タバサはおもしろい娘だと思った。

書いてみると、神様転生の書きやすさが尋常じゃないことに気づきました。

多くの書き手が神様転生を書くのも納得です。

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