【げんえいにっき7】おがみたくなるほどです

太陽あかりがセフィロ・フィオーレに転入してから、るなちゃの様子が変です。

彼女が仲間に加わって楽しいのは、みんな思っていることですが、るなちゃが太陽あかりを見る目がですね、なんか恋してる少女の目なんですよ。

そして、不思議と頬を染めている。

たぶん、太陽あかりに一目惚れしたんですね。

わたしがるなちゃの異変に気が付いたのは、太陽あかりの噂話をしていたときでした。

「あかりって娘、やっぱりここに入ることにしたんやな」

歓迎ムードでぎんかが言います。

「わ、わたしもそうなってくれるとうれしい」

そう呟いたるなちゃは、赤くなった頬に両手を当てていました。

それは恋する少女のように。

「あかりさん、戦ってるとき、カッコ良かった」

そのときは、ただの憧れだと思ったんだけど……。

彼女が本気だと気付いたのは、太陽あかりが地下牢に入れられたときでした。

「私、あかりさんに食事を持っていく」

「あかりには、積極的やな~」

ぎんかは茶化していましたが、これがきっかけだと思います。

まさに、太陽に照らされる月のようでした。

地下牢に入れられていた太陽あかりは、吹っ切れたようにな表情で、ここに残ることをわたしたちに告げました。

それを聞いたぎんかたちは、よろしく~と言葉を交わしています。

わたしは、彼女たちのテーブルにドンッとたこ焼き特盛バージョンを差し出し、

「よろしくお願いしますね」

と、歓迎の言葉を述べました。

てんどん……じゃなくて、天童三姉妹の健康診断が始まりました。

今回は、組織に新しく入った太陽あかりの健康診断です。

「おまえも受けるんだ」

え!?

わたしは、ゴスロリ服を脱がされてしまった。

「なにすんねん!?」

端から、関西弁だ、という声が聞こえたけど、反論する余裕はありません。

「以前、重症を負ったお前の体は完治したとは言えない」

わたしは、体を隠すように自分を抱きしめる。

「慣れてるので」

「さあ、自分をさらけ出せ!」

「なんか、エロいなあ」

こうして、天童三姉妹のお医者さんごっこがはじまった。

「はい、ばんざーい、してくださーい」

「胸、小さいでしゅね」

ほっとけ。

お医者さんごっこという名の健康診断が終了した後、太陽あかりから声をかけられた。

「ねえ、りんねちゃんって、ぎんかちゃんのお姉さんなんだよね?」

「さあ、どうでしょう?」

わたしは、彼女に意味ありげな台詞を言う。

「わたしたちは、姉妹ですが、どちらが姉とか、どちらが妹とか、決めてないんですよ」

「どういうこと?」

夕暮れの景色に目を向けて、懐かしく昔のことを思い出していた。

「わたしは捨て子だったんですよ。捨てられたところ、たまたま白金家に厄介になったんです」

「あ、ごめんなさい」

「いいえ。……それが理由で、姉妹の上下関係を意識したことはないんですよ」

それが一番だと思っていたけど、あの子はどう思っているのかな?

父の日ではないのですが、わたしとぎんかの父親である、白金弥太郎がセフィロ・フィオーレにやってきました。

全国展開するサンチョ・パンサというチェーン店の社長です。

わたしがつくっているたこ焼きも彼仕込みなのです。

ぎんかは父親の顔を見るや否や、彼の胸に飛び込んでいきました。

わたしは、そんな彼女と父親をほほえましく見ています。

「なんや、お前も遠慮せんで飛び込んできてもええんやで?」

「いや、そんな年じゃないです」

「何言うてんねん。ぎんかと同い年やないか」

いいえ、彼女より数倍生きてます。

父さんは、わたしの頭に手をポンと乗せて、やさしく撫でてくれました。

「意地はらんで、ええんやで?」

わたしは、その手を払いのけることもできたというのに、そのぬくもりを感じていたくて、そのまま撫で続けられていました。

しばらくして、エティアさんがやってきた。

「それじゃあ、わては、エティアたちと話があるさかいに」

彼の手が離れるのは、少し名残惜しい。

「なんや、結局甘えたいんやないか」

ぎんかがやれやれといわんばかりな表情をしていた。

父さんが先生の二人と話をしている間、ぎんかが自分ら家族のことをみんなに話した。

「うちら貧乏やってな。りんねがうちらの家族になってから、借金もチャラになったんや」

それを聞いて、みんなはわたしを称賛しているが正確には違う。

「それ違う、最初だけ」

そう、最初だけだった。

「わたしは最初だけ手伝った。でも、経営者として成功したのは父さんががんばったから」

何十年生きていても、会社の運営とか、経営学とか分からない。

それに、

「ただ、便乗しただけ」

あの日、生きていくために、たまたまあの人を見つけただけ。

その言葉は、ぎんかには聞こえなかったようで、

「それでも、あたしらを救ってくれるきっかけを作ってくれたんや。感謝してるんやで」

彼女がわたしにウインクしてみせる。

わたしは、彼女の背景に翼が見えた気がしました。

彼女の輪郭がゆがむ。

「なんで、手合わせてるんや?」

ぎんかは、拝みたくなるほど、輝いていた。

原点:幻影のメサイヤ

原作:幻影ヲ駆ケル太陽

二次小説:げんえいにっき